幸せのコットンボール(Gossypium spp.)
こんにちは (๑′ᴗ‵๑)
公園内の普段あまり通らない道をぶらぶらしてたら白い花が咲いているのが見えました。近づいてよく見てみると、ワタの実が弾けた状態のホワホワの綿花(めんか)でした。
かゆくなるから化繊は苦手、綿100%がいいな〜なんて言ってるわりに、実物の綿花を見るのは初めてで感動!
東京都内で綿(ワタ)のお花と果実=蒴果(さくか)を観察できます。
伯州綿の「弓ヶ浜」という品種
木場公園で育てている和綿は、ふとんリサイクル推進協議会さんのページによると、伯州綿の「弓ヶ浜」という品種です。
まずはワタの葉っぱです。綿花が付いてなければ何の植物かわからなかったかも。
下の画像はつぼみを包んでる状態の苞…かな?
この状態と、お花が終わった後の状態が紛らわしいんではないかと思います。この辺は流れで観察してないので、つぼみを包んでる時とお花が終わった後の苞の状態が私には区別できません。間違ってたらごめんなさい。中を開いて見ればわかるんですけど💦
中が見える状態だとこんな感じです。小さなお花のつぼみがあります。苞の中で段々育って、クリーム色の花びらが出できます。
蕾がちょっと出できたところが撮れました。
ワタのお花はオクラのお花にそっくりで小さめ。
お花の咲き始め。
ワタのお花です。5cmくらいです。アオイ科のお花だな〜って感じですね。
学名で検索してもいろんなタイプのお花がでできてしまい、ノイズが増えてる検索の限界を感じます。このタイプのお花もキダチワタとシロバナワタで出できます。シロバナワタは名前通りに考えたらお花が白いんではないかと思いますけど…。出どころがはっきりしてるサイトとしてはこことかここ。
ナンキンワタも同じようなお花ですが、茶色の綿が取れます。
雄しべと雌しべ。
お花は1日で萎むそうなので、↑咲き始めと↓時間経過後かな、逆かな? すくなくとも昼と夕方で同じお花を観察しないとわかりませんね。
花びらはこんな感じで重なっています。
799年、日本に漂着したインド人がワタの種をもたらした記録がありますが栽培は続かなかったようです。ワタの栽培が成功したのは1500年頃。日本で昔から育てられているのはGossypium arboreum(キダチワタの系統)だそうです。
詳しくまとまってるページがこちら。興味があったらどうぞ。→「金ならぬ羊のなる木」の歴史
お花が終わってから綿花になるまで。
花が終わるとクリーム色から赤く変化します。開花の翌日には色が変わってしまうそうで、クリーム色のお花は当日咲いたもの、赤く変色して閉じたものは開花の翌日あたりではないかと思います。
さらに時間が経つと花びらも枯れて縮んでいます。
2019年9月下旬に観察した時の全体の感じ。なんかゴチャゴチャしてます。
2021年8月中旬の全体の感じ。わりとシュッとしてます。時期によるのかな? 2019年は品種が確認できていないので違うワタかもしれません。
未熟な果実=蒴果(さくか)がありました。
いよいよ綿花です。実がさらに膨らんで割れると種を包んでる綿毛が見えるようになります。
綿花(めんか)というのは、ワタのお花ではなく、蒴果(さくか)がはじけて出でくる白い綿のことです(私も遠目で見間違ったけどお花のように見えます)。綿の種子についているのは実綿(みわた)と言います。
蒴果(さくか)は3~5室に分かれていますが、ここのワタは3室のようで綿花も3つに分かれています。
落ちていた綿花を拾って広げてフワフワに。
さらに引っ張ると種が出てきました。綿花はキャッチアンドリリースで、写真を撮った後はその場に置いてきました。その後、ワタが結構落ちてたので1個拾って持ち帰りました。
白飛びしないように暗めで撮ってみました。こちらは2021年の弓ヶ浜の綿花。
衝動買いしてしまったミニコットン。
ワタ愛が高じて衝動買いしてしまいました。「綿菓子」という流通名のミニコットンです。30cmくらいにしかならない園芸品種のようです。お花は白っぽい淡いクリーム色で、写真で見る限りはリクチメンのお花に似ています。上手く咲かなかった💦
「弓ヶ浜」と「綿菓子」の綿花の比較。
左側が「弓ヶ浜」、右が「綿菓子」です。綿は種子を包んでます。超長繊維綿という分類があってどう違うんだろうと思ってたけど、これは!!!
下↓弓ヶ浜は広げると種子ごとに分かれちゃう感じ。綿の手触りも少しザラザラしてます。短くて紡ぎにくそうです。
下↓「綿菓子」のほうはどこまでも細く伸びていく感じです。触りごごちもふわっふわです。ツヤもある感じで、もう全然違います!
引っ張ると細く伸びていくので紡ぎやすそうです。
2021年はワタ畑が広くなっていました。9月下旬になってもまだまだ観察できます。
撮影場所:木場公園(35.673975, 139.807300)
ここは植物園の外なので、いつでも観察可能です。
綿(ワタ)の種類のお勉強。個人的メモ。
世界におよそ50種が分布している。
そのうちの45種は二倍体種、地理的分布からアフリカ・アラビア群(Gossypium 亜属)、オーストラリア群(Sturtia 亜属)、アメリカ群(Houzingenia 亜属)に分類される。
5種は四倍体種(複二倍体)であり、中南米およびガラパゴス諸島、ハワイ諸島に分布し、アメリカ・太平洋群(Karpas 亜属)に分類される。
ワタの栽培種としては4種が知られている。
1. Gossypium arboreum (キダチワタ:木立綿:樹棉)アジア綿
2. Gossypium herbaceum (シロバナワタ:白花綿:草棉)アジア綿
3. Gossypium barbadense (カイトウメン:海島綿:海島棉)
4. Gossypium hirsutum (リクチメン:陸地綿:陸地棉)
同じ品種の多年生と1年生
熱帯等の暖かい場所では枯れることなく生育可能なので多年生。厳しい気候に対応するため1年生に変化する場合がある。熱帯地域のワタの野生種は多年生で、温暖な地域に広まるとともに栽培種は1年生に変化。
各栽培種について
G. arboreum(キダチワタ/多年生)
多年生のキダチワタはインド原産、アジア地域に自生。クリーム色に中央が暗赤色の花。オレンジ色の雄しべ、中国に伝わり、G. nanking Meyen(ナンキンワタ/1年生)に、ナンキンワタは茶色の綿。
G. herbaceum(シロバナワタ/1年生)
南アフリカ原産。多年生のレバント綿はサハラ以南のアフリカとアラビアの半乾燥地域に自生する。シロバナワタの1種が紀元前5000年にスーダン東部で栽培化。西アジアに伝わる。淡黄色の花に暗赤色の斑点、白い綿。
G. barbadense(カイトウメン:ピマ綿/1年生)
南米原産、アメリカ南部で自生。紀元前3400年から2300年頃のメキシコで栽培化。アフリカに伝わりエジプトで栽培されるものはエジプト綿と呼ばれる。超長繊維綿。クリームから黄色の花で中央に暗赤色の斑点が5つ、白い綿。
G. hirsutum(リクチメン/1年生)
アジア綿の近縁種とG.raimondi との交雑で生じたと考えられている。現在世界で栽培される綿生産の約70〜90%がリクチメン。全体が白めの花、クリーム〜黄色の雄しべ、白い綿。
Gossypium raimondii ペルー北部に固有のワタ。淡いクリーム色で中央が暗赤色、茶色の綿。
Gossypium tomentosumは、ハワイ諸島に固有の綿、黄色の花、茶色の綿。
Gossypium thurberi アリゾナワイルドコットン
栽培種についてははっきりしない点もあるので、後ほど修正すると思います。